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愛する街に、我が家を役立てたい 大阪の中心部に、昔ながらの景観を今に残す街があります。かつて大阪城の堀の一部があったことから空堀︵からほり︶と呼ばれるこの一帯は、戦争時に空襲を免れたため、築百年を超える町屋が多く残り、特色ある街なみを形づくっています。 そうした町屋の一つに、祖父の代から暮らしてきたH家。ご主人は町内会や子供会などの役員を務め、街に深い愛着を感じています。 リフォームを考え始めたのは、ご主人の定年がきっかけでした。﹁ずっとお世話になってきた街なので、何か恩返しがしたい﹂という気持ちから、この家に地域の人々が交流できる﹁集いの場﹂をつくってはどうかと考えたのです。 また奥様にも、長年趣味で続けている﹁さをり織﹂を展示して人々に見てもらいたいという思いがありました。お二人はお互いの夢を語り合い、知人に紹介してもらったリフォーム会社とともに、構想を具体化していきました。市の街なみ保存事業の補助を獲得 折しもこの地区では、歴史ある街なみを次世代に伝える保存事業が市によって進められていました。それを知った設計担当者の尽力によって、H様の住まいも補助金交付の対象に認定。リフォーム計画に大きく弾みがつきました。 外観は街なみ保存の観点から、伝統的な造りやデザインを踏まえることが基本です。この住まいも、建物の下にトンネル状に路地を通す﹁冠木門︵かぶきもん︶﹂と呼ばれる構造をしており、それを活かす形で設計が進められました。 集いの場づくりには、商家であった時代の土間を復活して活用することにしました。さまざまな人々が利用することを考え、広い入口や玄関先の段差をなくすなどの配慮も欠かせません。 内装も、建物の歴史性を踏まえた工夫が凝らされています。長年この家を支えてきた柱や梁を活かしながら必要な補強を加え、無垢材も使用。新調した建具や家具も伝統家屋になじむ色合いに配慮し、温かみある空間をつくりあげました。街の絆づくりにも貢献 こうして誕生した、街の集いの場。現在、英会話教室に将棋の勉強会、ミニコンサートやフリーマーケットなど、さまざまな目的で使用されています。﹁ご近所同士が顔を合わせることで、地域の絆が強くなったと感じますね﹂ 最近はこうした伝統的な街なみに惹かれる若い世代が増え、古家再活用の動きも各地で見られるとか。空堀一帯でも学生や芸術家などが移り住み、さまざまな活動を始めているようです。﹁彼らと協力して何か始めるのもいいし、いつかプロアーティストを呼んでライブなんてどうかな﹂とH様夫妻、ここを拠点に街を盛り上げる構想を練り始めています。リフォーム事情あれこれ街の文化を次代へ伝えようという機運から、歴史的価値ある家屋のリフォームに自治体が補助金を出す事業が増えています。今回のケースで活用されたのは、大阪市の「まちなみ修景事業」。プランは市がチェックし、「歴史的な外観の復元」という観点から修正を受け、認定まで約半年かかりました。ただ、2階の丸窓や路地側の入口は「復元」ではないものの、景観上好ましいと許可されたそうです。自治体によっては、補助がなくデザイン上の規制のみの場合もあり、リフォームを考える際には早めの確認がおすすめです。伝統家屋のリフォームは自治体の保存事業にも注目75
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REFORMDATA形 態一戸建て100年以上5カ月113.33㎡築年数工期代々住み継いできた伝統家屋を地域の集いの空間に延床面積Case1H様邸74

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