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半露天の浴室を実現する囲い建て主からは、リラックスした気持ちで入浴できることはもちろん、バスタイムが楽しくなるような浴室を、という注文があった。そんな中で出てきたキーワードが“半露天の浴室”。単なる入浴だけではなく、合間にちょっと涼んだりできるような場が作れないかということだった。それに対する回答が、坪庭を抱き合わせた今回の浴室プランである。このような屋外空間を併設するだけで、従来の浴室とは随分と異なる雰囲気を生み出すことができるが、住宅地の中にこの半露天の浴室を実現させるためには、浴室全体を何かで囲う必要があった。この囲いのために、今回はシンプルな箱を用意した。外からは何の変哲もない箱にしか見えないものが、その中に和風の坪庭と浴室を隠しているという、ちょっとした遊び心を伴う演出だ。もちろん、箱の中にプライベートな空間が潜んでいることを悟られなようにとの意図も含んだ上で、外壁には無機的なポリカーボネートの波板を用い、内いるが、それもやはりその部分だけが突出するのではなく、玄関やアプローチとの関係の中で互いの良さがかみ合った落ち着いた空間となるように心がけている。浴室についても、リビングから続く玄関脇のデッキ部分を外に向かって開いた庭だと考えると、浴室はそれと対照的な内向きの庭であり、構成上の対のバランスを成すものだと考えることもできるだろう。信頼できる関係作り今回、建て主が設計コンセプトを深く理解してくれたことで、部品の選定やプランの提案などさまざまな場面で有意義なキャッチボールができた。そういう意味では、建て主との間に信頼できる関係を築けるかどうかは、計画全体を左右する大きなファクターの一つである。これからもさまざまな出会いを大切にしながら、シンプルでナチュラルな家造りを進めていきたいと考えている。(石田晶久談)バスルーム部門銀賞K邸新築工事側を木のルーバーとしている。箱の中身は浴室とミニデッキと坪庭だが、これらをつなぐためにユニットバスの壁面にテラスドア(引違い)を組み込める「システムバスルームプレシオ」を採用した。浴室からは、テラスドア(引違い)を通して自然の光を浴びたり坪庭を眺めたりすることができる上、ミニデッキに出てのんびりくつろぐことも可能だ。和のテイストを感じさせるモダンなスタイルが今回の住まい全体のコンセプトだが、デザインのモチーフになった格子に関連付けて、内側から見た坪庭の壁面も横格子で囲っている。浴室内の色調についても、住まい全体の基調となるダークブラウンに合わせた壁を選んで、統一感を生み出した。調和を生み出すためのバランス今回の住まいは、何かを際立たせるのではなく、全体の調和を生み出すためのバランスに腐心したプランだと言えるだろう。もちろん「和モダン」というコンセプトを表現するために、格子をはじめとした特徴のあるディテールを採用して坪庭から浴室を見る68The2ndTOSTEMArchitect&SupplyContest
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外観全景横格子で囲まれた、坪庭とデッキ□施工情報所在地:山梨県韮崎市施工:小笠原工務店 敷地面積:256.40m2 延床面積:139.65m2構造:木造在来工法 地上2階建 使用商品:システムバスルームプレシオ1717サイズ□石田晶久 プロフィール1968年兵庫県加古川市生まれ1991年東北大学工学部建築工学科卒業株式会社大林組設計部にて約11年間勤務の後、住宅販売会社勤務、自宅兼事務所のセルフビルドを経て2003年八ヶ岳の麓に、アトリエリーフ一級建築士事務所 開設□主な作品 清里・小淵沢・原村など八ヶ岳周辺地域で住宅やログハウスを多数手がけている選評オープンバスへの施主様の要望に対して、横格子で囲われた箱庭のある空間を提案。通用口からの動線など、使い勝手にも配慮されている点が評価された。窯業系サイディング目隠し壁:ポリカーボネート板+ 木ルーバー(塗装)S=1/100S=1/100北側立面図収納脱衣室洗濯スペースヒートポンプ式電気給湯機洗面室PS棚納戸上部鏡付き収納浴室坪庭デッキシステムバスルーム:トステムプレシオ1717サイズ洗面室・浴室廻り平面図69
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