敷地の特性からくるプライバシーへの配慮今回の敷地は、L型の分譲地の角地ということもあり、普通のプランでは道路から室内が丸見えになってしまう。施主のプライバシーを保護するための工夫が一つのポイントになった。そのため、道路に面した西面に二つのキューブをつなぐジョイント部を配置し、小さな開口部を並べることで採光を確保しつつ外部からの視線を遮っている。ジョイント部は玄関と細長い廊下で構成されており、廊下の突き当たりに引き戸で仕切られた洗面室、浴室といった水周りを配置している。もう一つの工夫は玄関と道路を隔てる衝立にも似た高い壁の存在である。この壁も外と内の空間を区切り、玄関の無防備感をなくすために設けたものである。この壁によって、玄関ドアが外部からダイレクトに見えないようになっており、壁の内側の玄関に続く階段は、アプローチとしての豊かな空間性を獲得している。この壁を黒にしたことで、床のコンクリートの白や、キューブの外壁のシルバーとの強いコントラストが生まれ、デザイン上のポイントにもなっている。この壁の一部に小さな開口を設けている。これはピッキングなどに配慮してインボリュームのキューブに入ると、吹き抜けの高さが来訪者の驚きを誘発する。浴室への動線が、リビングからの近道を遮断し一度廊下に出てからしか入れないようにしているのも、このような空間の切り替えが日々の生活にアクセントを生み出すことを意識してのことである。白い壁に映えるダークブラウンの建具の色も、同様の効果を狙っている。施主にとっても、この回廊のような空間は魅力的に映っているようで、訪れた友人などからも高い評価を得ているようである。（古後信二談）玄関ドア部門銀賞JointCube#02錠前の高さに合わせて設置したもので、これにより防犯上誰かが玄関付近にいても外から認識できるようになっている。採用したドアは我々の住宅の定番になっている「エスキューブ」。住まい全体のモダンなイメージとのバランスも良く、シンプルなスタイルにぴったりマッチしている。つなぎの空間の持つ役割アプローチを通って玄関ドアを開けると、外観とうって変った静かなあたたかみのある空間が広がる。ここが、大小のキューブをつなぐジョイント部であり、今回のプランの最も重要な部分でもある。外部と内部を隔てる直線の廊下は、機能的にはただの通路であり移動のための手段でしかないが、この部分を効果的にデザインすることで、住まいの空間全体が有機的に連動するような感覚が生まれることを考えた。実際に玄関ホールから室内を見渡すと、この廊下は限られた空間でありながら深い奥行きを感じさせ、小さな開口から採り入れた光と間接照明によりギャラリー風の回廊をイメージさせる。さらに、この静の空間はそれぞれのキューブへ入るまでの期待を内包しており、実際にメ アプローチ  玄関 水勾配外壁.1(シルバー)内壁.1内壁.1外壁.1(シルバーブラック)コーキング開口4方水切：カラーガルバリウム鋼板(シルバーブラック)        t=0.6加工ベンチ(SH420)：ポリ合板フラッシュt=30+受金物スイッチプレートエスキューブ+下地用合板t=9内壁.1外壁.1(シルバーブラック)カラーガルバリウム鋼板(シルバーブラック)スパンドレルK型縦貼+透湿防水シートS=1/30玄関ドア廻り平面詳細図S=1/80玄関防犯のためサッシの鍵の高さに合わせて壁面に開口部を設けている▽サブシリンダー位置アプローチOPENエントランス廻り断面図50The2ndTOSTEMArchitect&SupplyContest