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駆け抜ける光と風デッキ材で仕上げたコートと室内をつなぐのは、間柱を介して連続するH=2,040、W=2,600の大開口部である。ここには最初木製建具を使うことも考えたが、目に見える境界をなるべく排除したいという設計意図や、操作性、メンテナンスなど総合的に判断して「オープンウィンスライディング」を採用した。室内からは、この連続した大きな開口部を通して光や風が駆け抜けるシーンを感じ取ることができる上、開いたときの引き残しのないすっきりとした姿が、大きな室内空間にうまく調和している。サッシの表面処理の具合も良い感じに仕上げてあり、一冬を過ごした建て主からは、複層ガラス仕様なので結露が気にならないと言われている。場や関係性によって空間が変容するのであれば、その表情もいくつかの異なる趣きを持つことになる。ここでは、木の格子と室内に設置した障子がポイントとなって、昼間は内外一体となった開放的なイメージが、夜は灯りの見え隠れする昔ながらの日本的な雰囲気に様変わりする。太鼓張りにした障子は、開口部の室内側だけでなく、空間を仕切るための間仕切りにも用いており、淡い照り返しや柔らかい手触りが日本人独特の感性にマッチする。工程を現地まで見学に行った。このような家造りに対する建て主の姿勢は施工に関わる全員を刺激し、良質なものづくりの基礎となる心地よい緊張感を生み出していった。それは、図らずも「曖昧な空間性の獲得=境界をなくしていく作業」という今回のコンセプトに合致し、現場は、施主・設計・施工の垣根を超えた一つのチームとして機能していたように思える。私たち設計者は、建て主それぞれの個性やライフスタイルに沿った住まい方を上手く引き出し形にしていくのが仕事だが、今回のプロジェクトは自分にとっても非常に刺激的で楽しい体験だった。建て主の家族にとっても、この家に住んだ時間が一つの体験として永く記憶に残るものであれば幸いである。(村瀬充談)サッシ部門審査員特別賞O邸リズミカルな変化を楽しむ空間さらに空間のたての広がりは、高さのメリハリをつけることでリズミカルな変化が生まれるような構成とした。やや低い天井高の土間リビングや1階のプライベートルーム、高い天井高を持つパブリックスペース、床から1.5mほど上がったスキップルーム、さらには木格子を用いたキャットウォークなど視覚的変化に富んだ空間は、決められた役割がない分、その時々によって変わる使い勝手にも柔軟に対応する。晴れた日には、2階の木格子からの光が壁に柔らかい模様を描き、南面の大開口からの風はスキップルーム上部の窓を抜けていく。周囲の豊かな自然を肌で感じて貰えるように意図した結果、季節の移ろいも含め様々な変化を楽しんでいるようである。チームとしてのコラボレーション自身がエンジニアである建て主は、モノづくりへの強いこだわりがあった。そこで、塗料や接着剤への配慮はもとより、素材の品質についても充分吟味して納得のいくものを選んだ。特に構造材・造作材に用いた尾鷲檜については、建て主夫妻と一緒に原木からプレカットに至る外観全景障子をすべて閉じた状態スキップルームから見下ろすリビングとコート36The2ndTOSTEMArchitect&SupplyContest
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格子柱:檜材□120破風・鼻隠:ガルバリウム鋼板t=0.4平葺屋根:ガルバリウム鋼板t=0.4ハゼ葺幅木:モルタル刷毛仕上オープンウィンスライディングデッキ材:ひのき材40×120化粧表シ胴縁:16×40@455階段:タモ集成材t=30コート床:ひのき無垢板t=15大引き引っ張りボルト:φ12@910均しモルタルt=60通気見切化粧表シ受梁▼砕石敷きガムロン防水シート+消音シール充填下地:荒床t=12通気層t=20 下地垂木60×45@455断熱材:ポリスチレンフォームt=40下地:構造用合板t=28天井:杉縁甲板張りt=9オスモ塗装横・縦樋:塩ビ製(ブラック色)笠木:ガルバリウム鋼板t=0.4平張り大引:檜材 □120束:亜鉛鍍金鋼製束@910床下地:構造用合板t=28(@150ビス留め)断熱材:ポリスチレンフォームt=40防湿フィルム敷きt=0.1砕石:t=120転圧見透見切:化粧梁3側 フケビ見切ポケット建具内部:ポリ合板張りt=5.5リビング胴縁:16×40@455タイベック張り化粧梁:側・下部 木製保護着色塗装軒裏:ガルバリウム鋼板t=0.4Kスパン張り□施工情報所在地:愛知県小牧市施工:(株)新東建設 敷地面積:429.02m2 延床面積:158.82m2構造:在来木軸構造受賞対象商品:オープンウィンスライディング□村瀬充 プロフィール1969年岐阜県各務原市生まれ1992年金沢工業大学建築学科卒1994年金沢工業大学大学院修士課程建築学修了建築会社設計部、設計事務所(日本・米国)勤務2001年村瀬充アトリエ設立選評大型の開口部とコートの木格子を配することで、住まい手にとっては十分な採光と風通しを確保し、外からのプライバシーを守りつつ、格子からもれる光があたたかさを与えている点が評価。▲Lパントリースキップルーム浴室寝室コートコートユーティリティー▲外部収納サービスコート駐車ゾーンDK土間リビング玄関収納ゾーン子供部屋バルコニー:FRP防水畳FIXガラス▼屋根ライン木格子吹抜吹抜吹抜S=1/3002階平面図1階平面図リビング-コート断面図S=1/7037
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