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SHINNIKKEICURTAINWALL さらに、省資源型のMJGに期待されたものは、何といってもさまざまな支持架構との組合せの技術である。DPGでは考られない幅広い適応性は、注目されなければならない。 透明なガラスファサードは支持架構のデザインのあり方で決まる。従来のフラットバーやケーブルトラスからケーブルグリッドへ、そしてテンセグリック・トラスへ。そうした進化をつき動かすのは何か。 「透明」あるいは「半透明」は、人間にとって説明し難い魅力を持っている。何も見えないほうがよいとは必ずしも限らない。ガラスだけで透明(トランスペアレント)な建築の魅力は生まれるともいえない。例えば、リブガラス。板ガラスは小口を恥じると感じ、そうした使い方に背を向ける人もいる。あるいはまた“透けて見える”(トラスル−セント)に心ひかれる人もいる。絽の服、御簾や連子の空間、障子や木洩れ日などにときめく思いは、支持架構としてのテンセグリックな世界への誘いにもつながってくる。ここにもガラスファサードの魅力あるデザイン(感性と技術の融合)の面白さがある。普遍的な合理性とともに、その時代に生きる人々の指向や感性を追って発展する。それも「構造技術」の宿命であり、課題である。PROLOGUE 日本大学教授 斎藤公男名古屋工業技術研究所(ケーブルグリッド方式)日本大学先端材料科学センター(ケーブルグリッド方式)愛知労済ビル「アビタン」(テンセグリック・トラス方式)名古屋大学野依記念学術交流館(テンセグリック・トラス方式)明治安田生命ビル(方立方式)注1)参照8
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一言でいえば、主題は構造・環境・美しさであり、その有機的統合といえよう。透明なガラス建築はすべてをあからさまにし、「魅力ある構造、洗練されたディテール」が求められる。当然のことながら、そこには地球環境と循環型社会へ向けた省エネ・ファサードの技術が前提となる。ガラスは省エネ上では弱点と言われたのは過去のこと。断熱・遮熱・発熱、調光・発光・遮光…熱と光を制御する高度化したガラス機能は、気候や社会・個人の好みで多様な可変被膜をも現実のものとしつつある。単なる表層機能を超え、日射・光・風・温度などの自然エネルギーを活用し、快適で健康的な室内環境と魅力的な建築空間を実現するインテリジェント・ファサード。21世紀のファサード・エンジニアリングに与えられた、革新的な開発とデザインの課題がここにある。 ところで、ファサード・エンジニアリング、特にガラスファサードに対する今後の展望は気がかりなテーマである。「鉄・ガラス・コンクリートの時代」といわれた20世紀、ガラスは構造材ではないのに特別な地位を与えられてきた。そして期待通りに大きな発展をとげ、多くの機能・性能と多様性を手に入れることができた。果たしてこの隆盛が、普遍的で永続的な動向なのか、あるいは一過性の流行で終わるのか。21世紀の建築のあり方とガラスの可能性がその議論の鍵を握っているように思われる。 近年のヨーロッパにおいて、現代建築に対するガラスの重要度が高まった理由を、W・ゾーベック(ILEK)は次のようにあげている。すなわち、(1)環境への適合性、(2)自然を体感できる快適性、(3)透明感、清潔感、耐久性、(4)ガラスの可能性と挑戦の面白さ、(5)ガラスのトータル・クオリティの追及「熱・光環境」に加えて、新たな「ガラスの素材感」をいかに生み出すかである。21世紀のファサード・エンジニアリング日本における大空間構造設計の第一人者。軽量空間構造の研究・開発とともに出雲ドームや静岡スタジアム、唐戸市場、山口きららドームなど数多くの構造デザインを手がけ、研究者・教育者であると同時に構造デザイナーとしても著名。日本建築学会(業績賞)、日経BP技術賞、松井源吾賞、JASS・坪井賞、PioneerAward、BCS賞など多数受賞。主な著書、『空間構造物語』(彰国社)、『つどいの空間』(共著、日本建築センター)他。日本大学斎藤研究室ホ−ムページhttp://dome.arch.cst.nihon-u.ac.jp/<プロフィル>斎藤公男(SAITOH,Masao)日本大学理工学部建築学科教授、工学博士。日本建築学会副会長。日本大学建築学科卒業、日本大学大学院理工学研究科博士前期課程建築学専攻終了、日本大学理工学部建築学科助教授を経て現在に至る。 テンセグリック・トラス(TensegricTruss)B.フラーにより提唱された「テンセグリティ−」と、トラス構造とを融合させた構造システム。「テンセグリティ−」の特徴である「非連続的な圧縮材を張力材(Tension)で統合(Integrate)し、安定させる」という概念に、トラスの持つ立体要素としての剛性を加えて、少ない張力での安定化とドーム等連続体への適用性を高めた。注1)9

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