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25たり、氷で底上げすれば刺身の盛り皿にもなり、パーティの食卓に印象的な表情を与えてくれます。朝食時には長皿をパン置きにして、ぐい呑みに野菜スティックやジュースを入れるのもいい。饅頭形の小皿はティータイムの菓子皿にしたり、不要時は重ねて飾れば、空間のアクセントにもなります﹂と次々と、しつらいのアイディアを披露してくれました。﹁何年か前までは厚手の土ものが人気でしたが、ここ数年は磁器のモダンなタイプがブームですね。ひとつの食卓でも、いろいろ混ぜて自由に演出したらいいんです。日本家屋が寄せ木細工であるようにもともと”ごちゃ混ぜの美“が得意なのが日本人の特徴。たとえばカレーを食べる器も洋皿のこれ、と決めず、今日はこの粉引きの長鉢で、次はこの伊万里の絵皿でと、ふだんの食卓でも器選びに変化をつけ広尾・ギャラリー旬(シュン)和の器を中心に灯りや人形など、週替わりで作家の個展を開催。地下には常設で幸さん作の器やアジアの品も。日本橋三越本店本館5Fにも’04年秋、「Jスピリッツ・ギャラリー旬」を開設し個展開催。TEL03・3444・7665晩酌にしっとり味わうひとり膳「花器や雛人形などの飾り台や、裏返せば盆になる漆器をお膳に見立て、三島調の酒器を合わせて落ち着いた雰囲気に。皿や箸置き代わりに植物をあしらって、風情を出しました」大胆な筆使いのお重で食卓を活性化「窯に依頼した六角重に私が絵付けを施しました」幸さん作のお重は、黒や赤の漆器とも相性抜群。お正月の食卓で映えるほか、英国式お茶の時間に果物・ケーキ・サンドイッチを入れるのもよし。渋い器を集めて華やかな宴のしつらいを「特にパーティでは卓上の“絵づくり”も大切にしたいもの。ぐい呑みにスープを入れるなど意外な料理を盛り付けたり、細かい器にはトレーや布を使うと、全体的にまとまりが出ます」器使いにルールは不要好きに使うのが面白いると、同じ料理でも異なる味わいになります﹂たしかに、知らぬ間についた我が家の習慣として、料理と器の組み合わせがお決まりになりがちな家庭の食卓風景。幸さんの言葉には、ハッとさせられる意見やヒントが多々あります。﹁器は毎日に関わること。見立てや使い方で、どうにでもなるんです。みなさんにも、暮らしの中で自由な器使いを楽しんでもらいたいですね﹂
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24﹁器に本気で興味を持ち始めたのは、40歳を過ぎてから﹂という幸さん。20代のころから世界中を旅し、現在も仕事で各国を訪れる彼は﹁若いころは外国かぶれもしたけれど、ある程度の年齢になったとき、やはり気持ちは日本に戻ったんです。でもそれは昔ながらの和にこだわらない”いろいろ見てきた後の和“。季節ごとの料理を味わったり、そうした料理とともに器使いを楽しむのは日本だけです。そこで、食卓を通して新しい暮らしを表現しようと思いました﹂と、ギャラリーを開くことに。それぞれ趣の異なる窯や作家に作品を依頼し、'92年、八ヶ岳・ギャラリームウをオープン。ここは、焼き締め、信楽、染め付けなど、あらゆるタイプの陶磁器や、漆、ガラス、自然素材の器が常時何万点もそろうショップ形式のギャラリー。それら和の器に似合うランチョンマットやクロスなどの布小物、照明、日本やアジアのアンティーク雑貨や家具なども多数扱い、別荘族をはじめ、器好きの人たちが遠方から訪れるほど、大人気です。その後も”食卓まわりの楽しみ“をテーマとした幸さんは、個展形式で作家作品を紹介する広尾・ギャラリー旬や、器に凝った日本料理店も手掛け、'04年にはN.Y.にギャラリーゲンを開設。日本の作家作品や和の器使いは、ニューヨークタイムズでも取り上げられるなど、話題を呼んでいます。﹁個人的には、一見使いにくそうな器が好きです。どうやって使おうか考えるのが面白いんですよね﹂とのこと。左ページ右下の器類は、N.Y.のピーター・レイン氏の作品ですが、もともとオブジェ中心の作家に、幸さんが日本用に器を依頼したところ、独特の器が届いたそうです。﹁鉢は、オブジェや花器としても使えるし、ワインやお酒のクーラーにしN.Y.・ギャラリーgen(ゲン)’04年初春、トライベッカにオープンした大規模なショップ&ギャラリー。和の器作家の個展をはじめ、常設の作品、日本やアジアの生活雑貨やアンティーク品を展示販売。現地のコレクターにも評判。TEL212・226・7717器のある豊かな暮らしさまざまなタイプの器を中心に、布や灯り、オブジェや家具などを集めた“テーブルまわりの楽しみ”を提案するギャラリーを主宰する幸義明さん。独特の審美眼と自由な発想の器使いは、食卓演出の新たな参考になります。INTERVIEWN.Y.・八ヶ岳・広尾……。人気ギャラリーのオーナー・幸義明さんの提案八ヶ岳・ギャラリーMUU(ムウ)自然に囲まれた大きな一軒家形式のショップ&ギャラリー。伝統的なものから斬新なものまで、あらゆるタイプの和の器や生活雑貨・家具がそろう。WeekendsGallery「MUU」山梨県北ほく杜と市大泉・夢宇谷 0551・38・006110:00∼17:00木・金曜(祝日は開廊)・冬季休廊 ’05年3月26日開廊予定 詳細はギャラリー「旬(シュン)」に問い合わせをYOSHIAKIYUKI1945年、鹿児島生まれ。20歳より画家として国内外で活躍。一方、器に魅せられ、新しい器使いを提案するギャラリーや日本料理店をオープン。インテリアデコレーター、空間デザイナーとしても活躍中。器を楽しむ感性をギャラリーから発信使い手の発想を刺激する器が興味深い
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