左ページから抽出された内容
後藤「私が思っているのは、1964年のときには、海外の文化がたくさん入ってきた。そこから2020年まで、取り入れた文化をもとに日本は技術革新を重ね、ものすごい進化を遂げてきているわけですよ。今度は、その進化したものを世界中に広めるという流れではないかと」柏木「確かにそうです。今度は世界に発信し、逆に広めていくよい機会です」後藤「例えば、INAXのシャワートイレは、海外のさまざまな国の人に驚かれ、喜ばれている事実があります。日本は昔から大陸から学び、日本独自に昇華しながら、文化をつくり上げてきました。それと同じように、1964年を機に学んだシステムバスは、日本で独自に進化してきた。第3空間というコンセプトを掲げて、世界一のトイレ文化と言われるまで進化しているからです」白井「もともと、システムバスのコンセプトはアメリカにあり、シャワートイレもスイスにあったけれど、広まらなかったんです。それが日本という国に持ち込まれて、独自の発展を遂げ、普及してきました」柏木「見た目の美しさも高めているけれど、その背後に隠れている無数のテクノロジーが、これは日本でなければ考えないだろうし、実現しないだろう、というようなものがたくさんありますよね」白井「自然の恵みである水に対して、日本人は象徴的な意味を与え、暮らしに活かしてきました。そして、繊細で丁寧な気質によって多くのテクノロジーを生み出し、水まわりを純粋培養してきたわけです。この文化やテクノロジーは世界にも通用すると信じています」後藤「そう、今度は、日本が、LIXILが、世界に新しい価値を発信するときです」年に取り入れた技術が進化を続ける。水まわりは日本で独自の発展を遂げた。2020年、日本の水まわり文化を世界へ発信する。16
右ページから抽出された内容
LIXILは、鹿島アントラーズとともに、茨城県立カシマサッカースタジアムの女性トイレをリニューアルし、2020年に日本の先進的なトイレ空間を世界に発信すべく、「RESTand」としてオープンしました。サッカー観戦に向けて再び立ち上がり、リフレッシュして戻る。リフレッシュ、リセット、リカバー、リラックス。トイレはサッカー観戦に必要な「Re」のための「STAND」の場となるように、今までのRESTROOMにさまざまな付加価値を加えています。日本の先進的なトイレ空間「」カシマサッカースタジアム2020年、世界が体験するLIXILの水まわり空間。(写真中央)柏木博デザイン評論家。近代デザイン史専攻、武蔵野美術大学名誉教授。RCA名誉フェロー。1946年神戸生まれ。武蔵野美術大学卒業。デザインをとおして近代を読み解く作業をしている著作『デザインの20世紀』NHK出版92年、『家事の政治学』青土社95年・岩波書店15年、『日用品の文化誌』岩波書店99年、『モダンデザイン批判』岩波書店02年、『「しきり」の文化論』講談社04年、ほか多数。展覧会監修:『田中一光回顧展』東京都現代美術館03年、『電脳の夢』パリ日本文化会館03−04年、ほか多数。(写真左)後藤泰男文化推進部INAXライブミュージアム主任学芸員(写真右)白井康裕理事LIXILWATERTECHNOLOGYJAPANデザイン・新技術統括部統括部長上:トイレ外観デザイン/下:個室はアントラーズカラーをイメージしたレッドとネイビーの配色で非日常を演出。色を配したことで空室状況が視覚的に認知しやすくなった。カシマサッカースタジアム全景17
お探しのページは「カタログビュー」でごらんいただけます。カタログビューではweb上でパラパラめくりながらカタログをごらんになれます。