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白井「LIXILは、おしりの洗浄やビデなどを表すピクトのデザインにまでこだわります。世界に広がるシャワートイレは、国が違い、言葉が違い、文化が違っても、迷わずに必要な機能にアクセスでき、使えなくてはなりません。訪日外国人の方が利用される施設や店舗のさまざまな商品の操作部には各国の言葉で説明書きが貼られている場合がありますが、決して美しく心地よいものではありません。まだ十分とは言えませんが、ピクトや商品の操作部を見たり触ったりするだけで、何の機能かを感覚的に理解できるように配慮したデザインを心がけています」永山「LIXILの商品は機能が充実しているから、ピクトの整理は大切になりますね。それができたときは、今以上に使いやすいものになるでしょうね」永山「現在、男女などの性で分けない(ジェンダーニュートラル)、誰でも使えることを目指したパブリックトイレをプランニングしています。男女の性で分けないと聞くとえ?と思うかもしれません。通常のトイレは個室以外の共有空間でも人目がない密室空間となる可能性があり、その場所で見知らぬ異性と出会うのは違和感があります。でも、飛行機のトイレは、男女別ではないのに全然違和感がない。それはパブリックな通路に面して人目があり、密室化することがないからだと思います。そこがヒントになっています」白井「男女共用となった場合に感じる抵抗を一つひとつ解消するために、人・物・空間の関係を再整理、再編集されたわけですね」永山「はい。パブリックトイレではなく、オルタナティブトイレと呼んでいるのですが、これをプロトタイプにしてオフィスなどに展開していきたいです」リモコンのピクトにまでこだわる理由。パブリックトイレをどうつくるか。オルタナティブトイレのモックアップ。通路に面したジェンダーニュートラルのトイレと、左右コーナーに分かれた男女専用トイレのどちらかを選択できる。LIXILは、体験をデザインする。10
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白井「LIXILの水まわりは、人を中心に考えていきます。仮にアプリを使うとしてもインターフェイスがデザインされていないとテクノロジーが活きてこない。そういう意味でテクノロジーを活かすのはデザインで、デザインは人との関係性をおさえていかなければなりません」永山「建築も、商品も、人に何を体験してもらえるか」白井「はい、体験のデザインです。人が見て、触って、使ったときに、心地よさや快適さを感じられ、心が豊かになる。そして、何度も使いたくなる商品を届けていきたい。そのために、素材や色、形にこだわっています。それはきっと、永山さんがおっしゃった五感に訴えるものにつながるのだと思います。LIXILは、今まで以上に建築家の方のインスピレーションをわかせる商品をつくっていきます」永山「期待しています」永山「水まわりの商品を開発しているメーカーに期待したいのは、五感に訴える機能やシステム。あとは、シチュエーションを掘り下げてトータルコーディネートができることですね。LIXILには総合的にいろいろな商品があり、膨大なテクノロジーやノウハウがある。音と光も連動できるし、水まわりではない商品も展開されている。建築家の期待に応えてくれる数少ないメーカーだと思っています。LIXILのテクノロジーがこれまで以上に使う人の気持ちに寄り添って五感に訴えかけるものになるなら、ぜひいろいろなアイデアを出してカタチにしていっていただきたいです。シャワーもまだ発展する可能性があるような気がします。ただ泡を流すだけのシャワーではない価値を持ったもの。しかも、日本人に合っているもの。水まわりの商品や機能でこんなのが欲しいと私から言わせていただける場面があれば、お願いするかもしれません」白井「ぜひ、お願いします」水まわり商品を扱うメーカーに期待するもの。LIXILは体験をデザインする。白井康裕YasuhiroShiraiLIXILWATERTECHNOLOGYJAPANDesign&AdvancedTechnologyCenterGeneralManager永山祐子YukoNagayama建築家。永山祐子建築設計主宰。昭和女子大学生活科学部生活環境学科卒業。青木淳建築計画事務所勤務を経て、2002年に永山祐子建築設計を設立。「ルイ・ヴィトン大丸京都店」(2004年)、「カヤバ珈琲」(2009年)、「木屋旅館」(2012年)、「豊島横尾館」(2013年)、ホール複合施設「女神の森セントラルガーデン」(2016年)などを手がけ、現在、2020年のドバイ万博日本館をはじめ超高層などの設計を進めている。2012年「ArchitecturalRecordDesignVanguardArchitects2012」、2014年日本建築家協会JIA新人賞(豊島横尾館)、2017年山梨建築文化賞(女神の森セントラルガーデン)など受賞多数。http://www.yukonagayama.co.jp/11
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